北欧スウェーデンが目指すサステナブルな暮らし
すでにみんなの生活の一部になっていた。
長く暗い冬が明け、明るい春がやってきた北欧スウェーデン。
スウェーデンといえば大手家具店のIKEAなどから、北欧雑貨や北欧家具、おしゃれなインテリアを想像するかもしれない。実際、スウェーデン人のお家に行くと、家の中を明るく心地よく、それぞれの好きなスタイルで作り上げて、おしゃれな空間にしている人が多い。そんな文化が生まれたのも、この長い冬があるからなのかもしれない。そんなことを思いながら、まだ少し肌寒い春でも、太陽が出ていればカフェのテラス席で日光浴する自分がいる。日本に住んでいたら紫外線を避けることを優先して、日焼け止め&日傘!絶対日陰!と思っていたから、太陽にこんなにも感謝することになるとは思ってもいなかった。
ここは、自然を大切にして、自然を愛して、自然と共に生きる、そんな国北欧スウェーデン。「地球に住んでいるなあ」そんなことを感じながら、ストックホルムに住んで気づけばもう7年が経った。
今話題のSDGs達成率上位国スウェーデン(2022年2位)で生活していると、ニュースや周りの会話、スーパーに並ぶ商品などから日常的に「持続可能な社会とは?サステナブルな生き方って?」そんなテーマと触れる機会が自然と増えた。「SDGs」という言葉自体はあまり耳にしない。言葉よりも「人間が生きるために持続可能な社会にシフトする必要がある」そんな大きなテーマの具体案を話し合うことが多い印象。そんな街で暮らしていると、この壮大なテーマが自分ごととして考えられるようになった。
そもそも、SDGsとはSustainable Development Goalsの略で、人類がこの地球で暮らし続けていくために2030年までに達成すべき目標。個人の温度差はあるものの、北欧にいるとサステナブルな生き方を考えるということは「一部の人だけのライフスタイルではなく、地球に住む人間全員が向き合うべき必須テーマ」と一人一人が自分ごとに感じているように思える。
例えば、たまたまかもしれないけれど、SDGsのロゴをデザインしたのはスウェーデン人Jakob Trollbäck 率いるデザインチーム。それだけではない。CO2削減のためにとお肉の消費を減らす人がどんどん増えていて、スーパーに行けばプラントベース(植物性)の食品がずらーっと並ぶ。国連でスピーチもした高校生環境活動家グレタ・トゥーンベリさんもスウェーデン出身。それに、国のエネルギー消費において50%を再生可能エネルギーで賄えるようにまでなっている。家庭で出た生ゴミを集めてエネルギーに変えて、ストックホルム市内のバスはほぼBioガスで動いている。さらにペットボトルと缶はデポジット制になっていて、返せばお金が戻ってくるリサイクル式で回収率が86%以上と非常に高い。しかもこの制度は35年以上前から始まっている。EUではシングルユーズと言われる使い捨てのプラスチック(例えばお店で出てくるフォークやストローなど)は禁止になったため、紙かコンポストできる素材(土に埋めると自然に還る)のものしか置かれていない。
住んでいるだけで自然とサステナブルな暮らしの一部になれる、ストックホルムはそんな街だ。35年以上前からリサイクルデポジットなど環境を考えた制度が導入されていたと聞くと、それだけ時間をかけて対策を実践してきたんだなあと、スウェーデンがSDGsランキング上位国に常に入ってくるのも納得した。
「自分達の住む地球を住める場所に保つためにはどうしたらいいんだろう」そんな問いが政治にも社会にも、そして日常生活にも反映されている、知れば知るほど面白い国スウェーデン。ここ、北欧の地で見つけたサステナブルなライフスタイル、考え方、生き方、モノ、こと、人を、学んで、感じて、現地住まいならではの視点からシェアしていくこの連載コラム。あなたの暮らしが豊かになるヒントが見つけられるかも。
【北欧暮らしVlog】サステイナブルな週末の過ごし方 | ストックホルム在住のとある夫婦の休日 | ビーガンレストラン | アンティークショップ
参考リンク
ユニセフSDGsって?
https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/about/
持続可能な開発レポート2021
https://dashboards.sdgindex.org/
スウェーデンのリサイクル
https://sweden.se/climate/sustainability/recycling-and-beyond
スウェーデンのエネルギー
https://sweden.se/climate/sustainability/energy-use-in-sweden