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北欧流、サマーハウスでの自然豊かな休暇の過ごし方

夏至祭、ブルーベリー摘み、海で泳いだ夏。
冬支度をしながらゆっくり思い出を振り返る時間。

ストックホルムは9月に入ってから一気に秋めいてきた。最低気温は10度を切り、どんどん日も短くなった。そろそろセーターとマフラーを出す時期だ。秋にすることといえば、夏に何度も使った「サマーハウス」の冬支度。長く寒い冬が来る前に、庭や部屋の片付けをして、来年の春からまた気持ち良く過ごせるように手入れをする。サマーハウスとは、夏の間、都会の喧騒から離れて、自然の中で過ごす別荘のこと。別荘と言っても、日本人が想像するような「裕福な人が持つ軽井沢の別荘」というわけではないことが多い。もちろんそういうような豪邸を持っている人も確かにいるけど、よく見るのはとても簡素で自然に近い暮らしができる、ログハウスのようなサマーコテージ。スウェーデン人夫の家族もそんなシンプルで素朴なサマーハウスを持っていて、ストックホルムから車で1時間ほどのところにある。

4月から9月頃まで行ったり来たりしながら過ごすこのサマーハウス。冬の間は来ないので、しっかり冬支度をする。ネズミが出るから食べ物は全て引き上げ、冷蔵庫のなかも空っぽにして電源を切り、お水も止めて凍結に備える。ちなみに夫の実家のサマーハウスでは、水は井戸から汲み上げていて、水洗トイレはないというワイルドな環境。来年に備えて夏にぐんと伸びた木を切ったり、落ち葉を掃いたり、庭のお手入れもする。そしてちょっと一息、コーヒーを淹れてフィーカしながら家族で夏の思い出を振り返る。

冬が暗くて長いスウェーデンで暮らす人たちにとって、夏は貴重だ。だからサマーハウスを持つ人が多いのかもしれない。あくまで友人や夫の実家のライフスタイルから見えることだけれども、夏休みは2〜4週間ほど取って、家族で過ごしたり、自分と向き合ったり、自然と触れ合ったり、それぞれのタイミングでサマーハウスに来て自由に過ごす。近くの森の中を散歩してブルーベリーを摘んだり、誰もいない湖や海に飛び込んで大自然を感じる、そんな時間を大切にしている。家族でのイベントもサマーハウスで行うことが多い。特にクリスマスやイースターに並んで大切にされている行事である「夏至祭」もその一つ。夏至祭とは最も日照時間が長い夏至(6月下旬)に、地域の人たちが集まって「ミッドサマー(midsommar)」というスウェーデンの大切なお祭り行事。

どんなお祭りかというと、6-10メールほどの高さのポールを白樺の葉や野花で飾り、バイオリンなどで伝統的な音楽を奏でる音楽隊を先頭に、ご近所さんたちみんなで力を合わせてポールを大広場まで運ぶ。地域の人たちが集まるので、なんとなく北欧流の日本の夏祭りみたいな感じがする。その巨大なポールの周りをみんなで手を繋ぎながら踊る。小さい子どもから白髪のおじいちゃんまでみんなで、ぴょんぴょん飛び跳ねながら、ポールの周りをぐるぐると周りながら踊る。フォークミュージックの軽快なメロディーに合わせて歌いながら踊るスウェーデン人たちは、冬の暗さと寒さに耐え忍ぶ「静かな人たち」とは打って変わって、一気に「愉快な人たち」になる。シーズンの苺をたっぷり使ったストロベリーケーキを食べるのも伝統。そうやって一年で1番日照時間が長い日を祝う。

フィーカをしながら、そんな振り返りをしていると、「今年のミッドサマーは暑すぎて、ダンスに参加できなかったね。ここ数年は観測史上最高温度を観測しているし、来年は踊れるかなあ。」と気候危機が話題になり、スウェーデンでの気候危機への関心度の高さを感じた。家族みんなでそんな話もできる、少しゆったりと時間が流れるサマーハウスで過ごす時間がとても好きだ。


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