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世界が注目!意外にも私達を救ってくれるのは海藻かも?

牛に海藻を食べさせることで「げっぷ」を減らし地球温暖化を防ぐ?
世界が注目するスウェーデンの気候変動テック企業がアツい。

スウェーデンは国民の数は少なくても、世界で活躍する企業を多く輩出している。例えば、家具メーカーのIKEA、自動車メーカーのVolvo、ファッションメーカーのH&M、音楽ストリーミングサービスを提供するSpotify、そしてゲーム会社のMojang(マインクラフト制作)やKing(キャンディクラッシュ制作)など、有名な企業が数多く存在する。スウェーデンには「失敗しても大丈夫」と思えるセーフティーネットがあるからか、スタートアップがどんどん出てくる。気候危機(地球温暖化)対策関連の企業も多くなっている。プラントベース(植物性)のタンパク質を販売するOumph!やオーツミルクを販売するOatly、サーモンやツナなどをプランドベースで作るHookedなどだ。その中でも海藻を牛の餌に混ぜて気候変動に立ち向かう「Volta Greentech」が最近注目を集めている。

そもそも地球上には10億頭以上の牛がいると言われている。ちなみにアメリカの人口は3.3億人だからその3倍、それより多い。その牛のうち、ほとんどは肉牛や乳牛。そしてその牛たちが生活する中で出すゲップやオナラが、地球温暖化を加速させる原因の一つと言われていて、国際的に問題視されている。これが気候危機(地球温暖化)を止めたいと思う人たちがビーガンやベジタリアンになる理由の一つでもある。牛たちから排出されるゲップやオナラには温室効果が高い「メタンガス」が含まれていて、その「メタンガス」の排出をどう抑えるかが今の畜産業の課題の一つだ。

そこで、このスタートアップ「Volta Greentech」では「カギケノリ(asparagopsis taxiformis)」という種類の海藻を使って牛の餌を開発している。海藻を牛の餌に混ぜることは、オーストラリアや日本など他の国でも研究されているが、スウェーデンの「Volta Greentech」が注目されているのは、生産スケールの大きさと、工場のオペレーションから商品の製造方法までもクリーンに行うから。来年2023年に向けて、海ではなく地上でこの海藻を大量生産するプロジェクトが始動していて、大きなスケールで開発しても、海の中で行うわけではないので海洋生態系を壊すリスクがない。そして再生可能エネルギーで工場を動かしてエミッションも抑えている。そもそも海藻は他の植物と同じで、陸上で生産しても二酸化炭素を吸収して酸素を出してくれるので、この「Volta Greentech」が海藻を大量生産することでCO2削減にも効果があると予想されている。

このスタートアップが作った海藻入りの餌を食べて育った牛のお肉が、今年2022年夏、スウェーデンの三大スーパーマーケットの一つでもあるCOOPで販売開始された。「熱帯雨林を切り崩して牛の餌を作り、その10億以上いる牛たちに食べさせているということ」も世界で問題視されている畜産業の課題の一部。それも解決できて、さらに海藻を育てて餌を作る上でCO2削減できて、お肉好きも満足できる。このシステムを作り上げたというのは、一石ニ鳥どころか三鳥か四鳥は狙えそう。

30歳未満のスウェーデン人の5人に1人がベジタリアンまたはビーガンで、そしてスウェーデン人の人口の半分が、1年前よりもビーガン食に興味を持つようになったと回答している(2020年)。つまり、お肉をカットしていないけれど、プラントベースなど環境に害の少ない食生活を送りたいと思っている人がかなり多いということが言えると思う。この海藻ベースの餌が、お肉好きだけど気候危機には加担したくないというニーズに答えてくれるかも。今日はCOOPに行ってこの「メタンガス削減牛肉」を買ってこようかな。


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