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北欧スウェーデン、ストックホルムのアパート事情

本場のインテリアデザインのプロに教わったお部屋空間を居心地良くする暮らしのヒント。

こちらに移住する前、「スウェーデンやデンマークなどの北欧諸国は、家具などインテリアデザインがとっても素敵」というイメージがあった。そして実際にスウェーデンに引っ越してきて、友人のお家にお邪魔してみると「ここはモデルハウスなのかな?」と思うくらいオシャレに部屋作りをしているのを目の当たりにした。「さすが北欧!」ただ、スウェーデンにいるからといって、それだけで自分のセンスまでが磨かれる訳ではないのが現実。友人たちの素敵な部屋作りにインスピレーションをもらい、そしてプロの手を借りて、やっと今の北欧らしいアパートに行き着いた経緯の一部を書いてみようと思う。

そもそもストックホルムでは人口が増えている割に、開発建設に時間がかかっているので、アパート(日本でいうマンション)を借りたいと思っても、そう簡単には見つからない。なので「借りる」より、お金を貯めてアパートを「買う」人が多い印象だ。そしてアパートや家を買うときは、一般的に「Hemnet」という不動産サイトに掲載される物件を見て、よさそうなところに絞り、実際に内見にいく。

多分今のアパートに決めるまでに、私たちは最低でも20件くらいは回ったと思う。場所や金額、その時の経済状況にもよるけれど、私たちが見ていた時の内見には2時間くらいの間に10−30組(カップルや家族)が見にきていることが多かった。そして新築でない限り、実際にまだ人が住んでいる状態で売ることが多いので、家具やその人の物がそのまま置いてある。内見当日は居住者はその場にはおらず、不動産屋が代わりにいて、見に来た人の質問などに答える感じ。「買いたい!」と思わせるようにインテリアなどとってもオシャレに飾ってあるけれど、生活感が垣間見れるので、実際に生活したらどんな感じなのかわかりやすい。このHemnetという不動産サイトは無料で見れるので、今買う予定はなくても、インスピレーションになるのでアプリを見ている人が多い。どこもかしこもオシャレなインテリアで飾っているのでとっても参考になる。

私たちもこのHemnetという不動産サイトを使って、今のアパートにたどり着いて、約3年前に購入した。5階建て、暖炉付き、北欧らしいパステルカラーの外観、そして築100年という歴史ある建物。地震などの自然災害や戦争の被害を、ここ200年は経験していないストックホルムでは古い建物が今でも現役で使われていることが多い。築100年と言っても、その100年の間に住む人たちがバスルームやキッチンなどをリノベーションするので、住める状態になっていることが多い。ちなみにスウェーデンのアパートは基本的に冷蔵庫や食洗機、オーブンや洗濯機が備え付けられているのがスタンダードのようで、いつリノベーションされたのか、それらの電化製品がいつ買い替えられたのか、状態はどうなのか、アパート全体の下水パイプの交換はいつされたのかなどなど内見の時に確認して、それを踏まえて買うかどうかを検討する。小さめの部屋などの場合は、アパートの部屋の中に洗濯機を置くのではなく、同じビルの地下にある住人用の共同洗濯機を使うこともある。

ちなみに以前住んでいた小さなアパートを売り払った時も、アパートをスタイリングして、広告掲載して、無事に希望価格で売ることができた。オシャレで今時のデザインのお部屋にした状態で、写真を撮って不動産サイトに載せないと、そもそもお客さんに見にもきてもらえないので、ここはとっても重要なプロセスだった。でも私たちは残念ながらインテリアのセンスがほとんどないので、思い切ってプロに頼ることにした。

「インテリアコーディネーターコンサルタント」という職業の方がいて、小一時間くらい我が家に来ていただき、具体的なアドバイスをもらった。例えばここにこれを置いたほうがいいとか、ここにマットを置くと空間が区切られた錯覚になって部屋が広く見えるとか、上半身くらいのサイズの植物を窓際に置くと視界が遮られて、向かいのビルの視線が気にならなくなるとか、今のトレンドはこれだからラスティックでインダストリアルな、シンプルかつ素材そのままの感覚を残したデザインで揃えるといいとか、色々とアドバイスを頂いた。一通り話を聞いた後には、揃えたほうが良い物リスト、おすすめのインテリアのデザインサンプル、ムードボード(写真で具体的に色合いや素材感がわかるもの)を送ってくれるので、そのリストやサンプル写真に基づいて、自分たちでインテリア雑貨を買うという流れだった。もちろん、家具・インテリアを一式全部レンタルして一切お任せして広告掲載用の写真撮影をするという選択肢もあったが、自分たちで揃えた方が圧倒的に安く住むので自分たちで買い揃えてみた。自分たちが今後使いたいと思うアイテムなどをメインに、アドバイス通り実践したら見違えるほどアパートがお洒落になった。日本円に換算して約1万5千円ほどの依頼費用で、ここまで完成度が高くなって、アパートを売りやすくなるのだから、やっぱりプロの力に頼って正解だった。

そしてその時に思ったのは、もうすぐ出て行くアパートを売るためだけに、そのアパートを素敵な空間に最適化するより、新しく引っ越してきた家・アパートで、住み始める前に最初にプロに手伝ってもらった方がいいじゃないかと言うこと。なので、今の新しいうちに引っ越してきてすぐにしたことは、以前のアパートに来ていただいた時と同じプロのインテリアコーディネーターさんに、来てもらってアドバイスを貰うことだった。

その時に教えてもらったのが空間の使い方。例えば、今のアパートは以前住んでいたところに比べて、広い空間が多い。大きめのキッチンとリビングが繋がっているような作りで、真ん中には何も置かれていない空間があったが、ここに一人がけのソファーのようなしっかり目の椅子を置くと、開けたキッチンとリビングが区切られて、空間を活かせるようになると言われた。それを参考にセカンドハンド・アンティークショップでいい感じの椅子を買って実際に置いてみたら、殺風景だったのが、ガラッと雰囲気が変わり、心地よい空間ができた。もう一つ教えてもらったのは、窓の反対側の壁に大きめの鏡をかけると、窓からの光が入って、外の木々の緑が映って、明るくて気持ち良い雰囲気作りができるということ。これまたセカンドハンド・アンティークショップでいい感じの鏡を見つけて購入。そして最後は空間と同じくらい大切なのはランプと念押しされた。「これくらいの空間(畳10畳くらい)には7個ランプを置くように」と言われて、「そんなに置くの?!」と驚いた。ストックホルムでは蛍光灯のような強く白い光ではなく、暖かくて柔らかい黄色味のあるランプを好む傾向がある。「1つの部屋に間接照明、7個も!?」と思ったが、プロに言われたから信じてみようかということで、とりあえず3個は揃えた。ここに引っ越してきて2年半経つけれど、あと4個はまだ買えていない。いつか良いものに出会ったら我が家に迎え入れようと長い目で考えている。

プロのアドバイスをいただくことで、自分では思いつかなかったアイディアを取り入れることができたり、なんとなくそうしたらいいのかなという曖昧なイメージが、具体的になって実践しやすくなった。その助けを参考にしながら、「自分らしいインテリア」を、そして「出来るだけセカンドハンドもしくはリユース(誰かが使って売りたいもの)」で探すようにしている。そして「めちゃくちゃ好きだ!良い!一生使いたい!」と思うものだけを買おうと決めている。北欧デザインは暖かい木製の家具が多く、シンプルだけどどこかユニークで、これからも長く使えるような気がする。


Hemnet
【スウェーデン在住】北欧の築100年のアパート・ルームツアー | キッチン&リビング編 | 北欧家具 | 北欧インテリア
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