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クリスマスまで毎日楽しめるアドベントカレンダー

毎朝ワクワクしながら目覚める子どもたち。
北欧スウェーデン流、冬のおうち時間の楽しみ方。

10月の終わり頃になるとサマータイムが終わりウィンタータイムが始まる。つまり日本との時差が7時間だったのが、8時間に変わる。一気に暗さも増して、長い冬本番が始まる感じがする。11月になると街にはクリスマスデコレーションの販売が開始される。日本ではお正月やお盆が家族の伝統行事として親しまれているが、ここスウェーデンではクリスマスが一年の中で一番大切にされている家族行事だ。
そしてこの長くて暗い冬を乗り越えるアイテムとして役立つものの一つが「アドベントカレンダー」だ。北欧だけではなく北米にも「アドベントカレンダー」というクリスマスまでの準備期間を楽しむものがある。スウェーデンにもその伝統があって、子どもがいる家庭ではアドベントカレンダーを飾るところも多いようだ。

そもそも、12月25日のクリスマスまでの4週間には、4回の日曜日があり、最初の日曜日を「第1アドベント」、次の日曜日を「第2アドベント」、その次の日曜日を「第3アドベント」、最後の日曜日を「第4アドベント」という。つまりクリスマス直前(もしくは当日)の日曜日から逆算して4週目の日曜日からアドベント期間が始まるという事になる。この「第1アドベント」を皮切りにクリスマスデコレーションが解禁になるので、それぞれクリスマスデコレーションをした家庭が窓越しに見えるようになる。ちなみになぜかストックホルムではカーテンを閉める習慣がないので、窓際のインテリアがよく見える。4週間に合わせて4本のキャンドルを毎日少しずつ灯して短くするのも楽しみ方の一つだ。

そしてそのアドベント期間を楽しく過ごすために作られた、この「アドベントカレンダー」。スウェーデン語では「Julkalender(ユールカレンダー)」と言い、古くから人気がある。具体的にどんなものかというと、通常のカレンダーのように1~24(もしくは25まで)の数字が書かれていて、そこを開けると中に小さなおもちゃやお菓子が入っている。王道はチョコレート。味や形が違うチョコレートが毎日一個ずつ楽しめる。甘いものを子どもにあげたくない人のために、ミニ絵本やレゴなどのおもちゃが入ったものも売っている。毎朝起きて一つ数字を開ける、これが子どもたちにとってはワクワクする瞬間だ。中にはクリスマスツリーに飾るデコレーションが24個入っていて、毎日1つ開けてツリーに飾って、クリスマス当日にデコレーションが完成するというものもある。

ただ子どもたちだけではなく大人もクリスマスが近づいてくる楽しみを、毎日少しずつ味わえるのがアドベントカレンダーの醍醐味。大人用に工夫された商品もたくさん売られている。例えば、毎朝の一杯が楽しみになる「コーヒー豆バージョン」のアドベントカレンダー。さらにお茶派も楽しめる「紅茶バージョン」、ビール好きにはたまらない24本違った味が入っている「クラフトビールバージョン」などなどさまざまなアドベントカレンダーが店頭に並ぶ。アドベントカレンダーは既製品を買う人が多いと思うが、中には手作りする人もいるようで、繰り返し使えるアドベントカレンダーを買ってみた。今年は娘も一歳半になり色々わかってくる頃なので、セカンドハンドで小さなおもちゃを買ってきて、自分で作ってみようかなと思っている。

そして、文字通りのカレンダーに加えて忘れてはいけないのが、「Julkalender(ユールカレンダー)」というクリスマスドラマ。スウェーデンの国営放送SVTテレビ(日本で言うNHK)で放送されるもので、1960年から始まった伝統。日本でいうNHK朝の連続テレビ小説のクリスマス版のような感じで、クリスマスまで毎日短いドラマが放送される。文字通りのカレンダーとこのテレビドラマ、二つのアドベントカレンダーを毎年楽しみにしている子どもたちは多い。

スウェーデンはキリスト教の歴史がある国だが、無神論者が多く、アメリカのように毎週教会に行く人はほんの一部だ。でも日本のように宗教由来のイベント文化は根強く残っていて、宗教的行事というよりは家族との時間を楽しむイベントと位置付けられているような気がする。何よりこの長くて暗いスウェーデンの冬を乗り切るためには、明るくて楽しいイベントごとが必要なのかもしれない。


スウェーデンの国営放送SVT「Julkalender」