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北欧発の大手家具屋IKEAのサステナブルな取り組み

持続可能な企業へと変革を遂げるために考えられた、大企業だからこそできる挑戦。

スウェーデンの小さな街Älmhult(エルムフルト)で生まれた北欧家具ブランドIKEA。「家具を多くの人の手に届きやすく」というテーマを掲げるこのブランドは、手が届きやすい価格で、キッチン家具から寝室用のベッドまで家の全てをカバーできるような品揃えになっていて、スウェーデンで根強い人気を誇る。スウェーデンで初めて一人暮らしをする時は、おそらく誰でも最初にお世話になる家具屋さんだと思う。それくらい国民に浸透しているブランドだ。

IKEAの店舗に行くと、まるでテーマパークのような巨大な空間に圧倒される人も多いかもしれない。スウェーデンカラーの黄色と青のロゴが目立ち、家族連れから老若男女問わず、いつも大賑わい。お店も大きな店舗ならではの工夫がされていて、ちょっと疲れたなという時に立ち寄れるカフェがちょうど良い場所にあったり、おなかが空いてきた時に子ども連れでもゆったり楽しめるレストランが店内にある。さらに支払いを終えてレジを抜けると、ちょうど良いところにホットドッグスタンドがあり、帰り際に低価格でエネルギー補給ができる。さらに子連れでも楽に買い物ができるように、買い物をしている間、ずっと子どもを預けられるスタッフ常駐のキッズ施設を併設してる店舗も多い。

そんな世界でも大人気のIKEAの売上は5兆円以上と言われている。それだけ沢山の家具や雑貨を売っていると、材料を揃えたり、工場を動かしたり、資源やエネルギーを大量に必要とする。そこで大企業IKEAは持続可能な企業へと変革を遂げるべく、何年も前からサステナブル戦略を練ってきた。

例えば、気候危機対策として、中古家具の販売、再生可能エネルギーの利用、温室効果ガスの削減をするために、プラントベース(植物性の原料のみ)食品の提供などをしている。スウェーデンのソウルフード、牛肉のミートボールとマッシュポテトのリンゴンベリージャム添え。これもえんどう豆やオート麦などプラントベースで作られていて、IKEA店内のレストランで食べることができる。もちろん食品コーナーには冷凍のものも売っているので、家で楽しむこともできる。買い物終わりにささっと食べられることで人気のホットドッグスタンド、ここもプラントベースでできた植物由来のソーセージがあり、気軽に食べられる。

さらにストックホルム市内のIKEAには中古家具の販売コーナーが店内にあり、返品されたものや展示品で少し傷がついたものがアウトレットとして売られている。部品だけでも購入ができるので、家にあるIKEAの家具の一部が壊れた時も、部分的に購入して、使い続けることができるように工夫されている。

工場をいくつも動かしているが、その工場を動かすエネルギーも再生可能エネルギーのみで賄うことを目指している。2021年度にはIKEAの自社工場は100%再生可能エネルギーで動かすことができるようになり、目標を達成した。今はパートナー企業(サプライヤー)のエネルギーも再生可能エネルギーで稼働できるように、サポートをしているようだ。

さらに家具や雑貨を作る上で木材などを大量に使うため、どんな素材を使うかも考えられている。2021年にIKEAが調達した原材料のうち、55.8%が再生可能素材で、17.3%がリサイクル素材になっている。そして現在は、IKEA製品に使用されている木材の99.5%は、森林管理協議会®(FSC®)認証材またはリサイクル材になっている。さらに木よりも成長が早く、どんな環境でも育ちやすい竹を、木の代わりとして使って製品開発を進めることで、木の使用量自体も少なくできるように努めているようだ。

「家具の民主化」をテーマに、お手頃価格の商品を生産して、さまざまな人たちの生活を支えてきたIKEA。大量生産大量消費が当たり前だった時代を終えて、今はどのように持続可能な社会を作っていくかを真面目に考えてるように感じる。大企業だからこそ、変化した際の影響力は大きい。

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