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スウェーデン発!素材100%アップサイクルのエコバッグ

廃棄されたホテルリネンをリサイクルして作られた質感良し、耐久性良しのトートバッグを届けたい、そんな私の北欧ストーリー。

2013年に北欧スウェーデンに移住してから、今年で10年が経った。その中で時には落ち込み、時には歓喜しながら、様々な価値観に触れて刺激をもらいつつ生活するうちに、私に起きたとある大きな変化がある。より持続可能な生き方にライフシフトしたいと強く思うようになったことだ。というのも、年々深刻化する異常気象を体感して、日々の生活の中から気候危機が大きな問題であることを実感し、資源を使いすぎた私たちの生活、つまり、今まで行ってきた消費行動(大量生産、大量消費)を、社会の問題として認識するだけでなく、自分ごととして捉えるようになった。調べれば調べるほど「え、待って。これはかなりまずい状況じゃない?どうしよう、、、」と心が暗くなった。ストックホルムでは環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんがストライキをしていたり、選挙では気候危機対策をどうするかが大きなトピックの一つになったりと、この大きな社会問題の一つに対してアクションを取る人が多くいることに気づき、そんな北欧スウェーデンで過ごすうちに、自然と「サステナブルな生き方」をもっと調べるようになった。

肉食生活からプラントベースの食事にシフトすることが、どうして環境負担を減らすことに繋がるのかなどを知り、どんどん興味が湧き、学び進めていくうちに、サーキュラーエコノミーの考え方に共感する自分に気がついた。そして、同じ想いの人たちと、より良い社会を作りたいという想いが生まれ始めた。日本に数年帰国して仕事をする機会があり、その時、まだまだスウェーデンに比べて、日本にはサステナブルな選択肢が少なく「自分ごと」として捉えている人や企業が少ないと思った。そんな中で「自分にできることはなんだろう」と模索し始めた。まずは自分の生活を少しずつサステナブルなものにできないかと考えた。お肉を減らしてプラントベースの食事を試してみたり、ビーガンカフェに行ってみたり、サステナブルと言われる商品を買ってみたり、リフィルショップに行ってゴミを減らす生活を試してみたり、積極的にセカンドハンドで買い物をするように意識してみたり、完璧にはできなくても、試してみると、そういう選択をすることが自分にとってとても心地良いと感じるようになった。そして学んだことや経験したことをアウトプットをすることも大切だと思い、YouTubeとInstagramで「COCOの北欧サステナブルライフ」で配信を始めた。

少しずつ自分の意識を変えていく中で、このチャレンジが楽しかったり、簡単だったり、ワクワクしないと続かないかも、と気づいた。私たちが生活すると、それだけで環境に負荷がかかる。だからと言って全てを耐えて、無理をして生活することは「持続可能」ではないと思う。完璧にしなくてもいいから少しずつ始める、そう自分の気持ちと折り合いをつけながら色々と考えた。「私たちと子どもたちがこの地球で幸せに楽しく生きるためには何ができるんだろう」。今の時代はテクノロジーと化学、知恵、知識などがたくさんある。今地球上にあるこれらの資源をうまく活用して、ネガティブインパクトをポジティブインパクトに変えることはできる気がする。そんな時、廃棄されるホテルリネンをアップサイクルして布トートバッグ(エコバッグ)を作っているスウェーデンの企業を見つけた。心が躍った。ワクワクした。

通常ホテルでは、リネン(シーツや枕カバー、タオルなど)に穴が開いたり、どうしても取れないシミができた場合、他の部分の状態がどんなに良くても丸ごと処分しているケースがとても多い。特にシーツは大きな布一枚という形なので、アップサイクルの加工がしやすいし、肌が触れることを念頭に置いて作られているため、肌触りが良い素材で作られている。そんなホテルシーツを加工して新しい価値を生み出したこのエコバッグは、質感がよく、耐久性も高く、何度も洗える。元々頻繁に洗うことを想定されたホテルリネン素材ならではの特徴。もしかしたら私が北欧で得たインスピレーションエコバッグをデザインをして、今まで積んだ経験を生かして日本向けに販売できたら、何か価値を生み出せるかもしれない。気候問題を解決しようと取り組むサーキュラーエコノミーの一部になれるかもしれない。そうして気づいたら、「Circuliv(サーキュリブ)」というブランドを立ち上げている自分がいた。

ブランド名「Circuliv」は、Circular(サーキュラー:循環)と、liv(リブ:スウェーデン語でLifeの意味)を組み合わせて作った造語。エコバッグに使う最初のデザインはスウェーデン語でリサイクルを意味する「Återbruk」という文字をメインにすることに。これが皆さんの手に渡ることで、限りある資源の有効利用ができて、そして「サーキュラーエコノミーの一部として暮らす選択」を友達や家族、同僚や周りの方に話すきっかけができたらいいな、誰かが循環型ライフスタイルを取り入れるきっかけになってくれたらいいな、という願いを込めてデザインした。

Circulivのエコバッグが、シーツ素材の元々の色「白」のままなのは、染色する際に使う汚染水を極力少なくしたいから。一般的に布・テキスタイル(織物とその材料である繊維を指す)で新しい商品を一から作る場合、生み出されてから繊維製品としての役目を終えるまでの一生の間に、製造工程から出る温室効果ガス(CO2など)や汚水などの排出が原因となり環境と気候へ影響が出る。その内64%ほどが、生地になる繊維、裁縫用の糸、織り、染色のプロセスに起因しているという調査がある。つまり廃材となったホテルリネンを使って商品を作ることで、このステップを回避することになり、環境へのインパクトを抑えることができる。配送に関しても、スウェーデンから商品を発送すること自体、配送コストとしてCO2を使うので、商品を作るまでの環境負担を出来るだけ少なくしたいとも考えた。そのために、商品を発送するパッケージもFSC認証(森林の生物多様性を守り、地域社会や先住民族、労働者の権利を守りながら適切に生産された製品を消費者に届けるためのマーク)を得たものを使用し、可能な限りサステナブルなプロセスを目指している。

無理なく続けられて、よりサステナブルでワクワクする生き方が見つかる場所。Circulivをそんな場所にできたらと願っている。私にできることは限られていて、これを始めても、すぐには大きなインパクトにはならないかもしれない。他にももっと方法はたくさんあるかもしれない。でも、これが小さなことだとしても、まず始めることで、「山火事を消すためにハチドリが運ぶ一滴の水」のように、サーキュラーエコノミーの一部になれたら、そしてそれをみなさんと一緒にできたらと思っている。

最後に今回の記事でコラム連載は一旦お休みとなります。このような機会をいただけたことにKötaチームの皆様に感謝申し上げます。今後もInstagramやYouTubeなどのSNSで、北欧で学ぶサステナブルな暮らしを更新します。「北欧 COCO」でぜひご検索ください。ではまたコラムでお目にかかれるのを楽しみにしています。

Hej då(ヘイドー)!


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