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本場北欧のクリスマスビュッフェとイブの過ごし方

一年で一番大切にされている家族の時間。
ぬくもり溢れるお祝いムードのスウェーデンのクリスマス。

スウェーデンではクリスマスイブの12月24日にお祝いをする家庭がほとんど。スウェーデン人の夫の実家に行くと、ジンジャーブレッドとグレッグ(ホットワイン)の香りがふわーっと漂い、暖かい気持ちになる。無神論者が多いスウェーデンでも、キリスト教文化の名残で、今でも「家族の時間」として、クリスマスが親しまれている。親元から離れて暮らす人も実家に帰ってクリスマス休暇を過ごし、おじいちゃんおばあちゃんのお家で家族揃ってお祝いするのが習慣になっている。日本でいうとお正月のような感じで、家族行事として大切にされている。

夫の実家には2mほどある大きなクリスマスツリーが部屋の真ん中にあり、クリスマスオーナメントや黄色みがかった暖かい色合いの電飾をまとっている。帰省してきた家族がそれぞれ思い思いにラッピングしたプレゼントをツリーの下に置いていくと、一気にクリスマスらしさが増してくる。この時期になると街中で本物の木のツリーが買えるようになるが、夫の実家では、年中通して大きな観葉植物を育てていて、それをクリスマスツリー代わりにしている。

クリスマスイブにまずする事といえば、15時に放送されるディズニーのショートアニメを見ること。テレビの前に家族が揃って、みんなで鑑賞するのが伝統になっている。ウォルトディズニーのクリスマススペシャルアニメがスウェーデンの国営放送STV1で1960年に放送されてから、ずっと続いている習慣だという。日本でいう紅白歌合戦のような、年末を感じさせる時間だ。

みんなでテレビを見た後は、Julbord(ユールボード)というクリスマスビュッフェ(バイキング)を食べる。このユールボードはクリスマスシーズンにレストランで楽しむことができて、日本の忘年会のように会社のメンバーで行ったり、仲の良い友人や家族で行ったりする。24日のクリスマスイブには家庭でユールボードの簡易版を食べる人が多い。簡易版と言っても、日本でいうおせち料理のように、何種類も大量に作って、翌日は何も作らなくて良いようにする家庭もある。このユールボードを食べる上ではルールがある。まずは「冷たい魚介料理」、次に「冷たい肉料理」、そしてメインの「暖かい肉料理」、最後は、「デザート」。ビュッフェなのでつい美味しそうな料理を取りすぎて、メインまで辿り着けないこともあるので食べ過ぎには要注意。

「冷たい魚料理」の定番メニューはニシンの酢漬け(Sill)、サーモンのマリネ、キャビア(と言ってもたらの卵)が乗ったゆで卵、そして、チーズ類もある。ニシンの酢漬けは玉ねぎと胡椒味、マスタード味、ディルという香草味、クリーム味などいろいろな種類が並ぶ。塩気が強く、甘みもあるので、お酒のお供にとっても人気。一皿目を食べ終わったら「冷たい肉料理」を取りに行く。数えきれないほどのハムやローストビーフ、パテなどが並ぶ。パンに乗せたり、ジャムやマスタードをつけて食べるのが人気の食べ方。「冷たい肉料理」を食べ終わったら、やっとメインの「温かい肉料理」。ソーセージ、ミートボール、ロールキャベツ、シチュー、アンチョビで味付けしたポテトグラタン(「ヤンソンさんの誘惑」という料理名)が並ぶ。特にこの「ヤンソンさんの誘惑」ポテトグラタンはアンチョビの塩気とクリームがちょうどよく混ざり合って、スウェーデン料理の中でも私の大好きな一品だ。一通り食べ終わったら、最後は「デザート」。コーヒーや紅茶を飲みながら、チョコレートやパンナコッタ、サフラン入りのライスプディングなどをいただく。

家庭で楽しむユールボードの主なメニューは、レストランで食べるものと大体一緒で、ニシンの酢漬け、ハム、ミートボール、ゆで卵、サーモン、「ヤンソンさんの誘惑(アンチョビポテトグラタン)」。

たらふくクリスマス料理を食べたら、最後はプレゼント交換。15時のディズニーアニメをみた後にプレゼントを開ける家庭と、食後まで取っておく家庭がある。夫の家族は後者で、家族がそれぞれ考えて買ってきたプレゼントを、ユールボードを食べ終わった後に一人一人順番に開ける。そしてこれは子どもたちだけではなく、おじいちゃんおぱあちゃんまでみんなそれぞれ貰えるので、大人もワクワクする時間。夫の家族では事前に何が欲しいかを聞き合って、それをベースに毎年、色々考えて用意する。私は出来るだけシンプルな暮らしができるようにしているので、ちょっと良い調味料(オリーブオイルやハチミツなど)やハンドソープなど実用的で使ってなくなるものをお願いすることが多い。気候危機への関心度の高いスウェーデンでは、シンプルな生き方を好む人が増えてきていて、プレゼントは少なくしてゲーム形式で当たった人だけが貰えるように楽しい工夫をしたり、ユールボードでも植物性のみで作られたビーガン、ベジタリアン用のレシピに挑戦したりする人も増えてきているようだ。少しでも多くの人が安心して、暖かい部屋で家族との大切な時間を過ごせることを願いながら、スウェーデン語のメリークリスマスを最後に。「God Jul(グードユール)!」


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